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著作一覧へ戻る▲「タイゾー化する子供たち The Wandering Students.」(光文社ペーパーバックス)

(2006年9月22日発売)

 世間では今、「教育」について再び騒がしい議論が行われようとしています。やれ「愛国心」だ、やれ「百マス計算」だ、とテレビや雑誌で、自称「教育のプロ」から全くの素人まで大騒ぎです。

 しかし、このように政治やメディアを舞台として行われている教育論争は、本当に私たちの子供たちのため、そして、私たちの国・ニッポンのために行われているものなのでしょうか。

 答えは明確に「NO」です。

 なぜなら、第二次世界大戦で敗戦して以来、繰り返し行われてきた数々の「教育論争」と同じく、今回のそれにもまた影の仕掛け人がおり、結果として私たちの思考と行動を縛り付けているからです。
 そしてその「仕掛け人」こそ、今や収奪の対象となった日本の国富を虎視眈々と狙っている米国なのです。しかし、不思議なことにこうした明確な事実に大人たちは全く気付いておらず、ただひたすら「愛国心」と「百マス計算」という無意味な議論に終始してしまっています。

 その一方で、私たちの子供たちは目に見える形で、しかも努力無しにいきなり成功者になることを堅く信ずるようになってしまっています。「ヒルズ族」、あるいは「米国」といった目に見える勝ち組に、まるでハーメルンの笛吹き男に操られたネズミのようについていっているのです。彼らはいってみれば、かの杉村大蔵衆議院議員のような存在です。皆、タイゾー化してしまっています。
 驚いたことにそのことは、普通なら日本の最高学府として信じられている「東京大学」においても状況は全く同じでした。キャンパスは今、杉村大蔵衆議院議員のように「パシリから一瞬にして大成功すること」を夢見る、よどんだ目をした子供たちで溢れています。そこには、日本全体を背負ってたとうという気概と能力をもったエリートの「エ」の字も皆目見当たらず、それを教えようとする大人たちの姿も見当たりません。−−−これは相当マズイのです。

 「一体どうすれば、教育現場における危機的な現状を救うことができるのか」

 この本は、抽象的な議論ではなく、2006年の夏学期、私が実際に東京大学で正規単位認定ゼミナールを開講した際の驚くべき、そして深刻な現場における体験を踏まえ、書きました。そしてその目標は、大人たちによる偽りの教育論争を打ち壊し、私たちの子供たちと、私たちの国・ニッポン全体の未来が今まで以上に幸せに満ちたものになるための教育にとって本当に必要なものはなになのかを考えるということにあります。

 この本を、一人でも多くの日本人に読んでいただき、明日の日本を創りあげる現場としての教育の本当のあるべき姿について目覚めていただければ幸いです。

(2006年9月 原田武夫記)

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