「「日本叩き」を封殺せよ 情報官僚・伊東巳代治とメディア戦略」(講談社)
(2006年10月23日発売)
何かというと「明治の昔に帰れ!」と叫ぶ論客は多くても、そこで学べるものがどうしても古臭い精神論に終わってしまっていたのが、これまでの言論だったのではないでしょうか。武士道、品格、気概といった単なる精神論ではなく、現代まで続く大きな社会構造が創られた明治の中で、現代日本人が忘れてしまった鋭敏な感覚で時代を乗り切った人物をフォーカスすることで、私たち日本人が忘れてしまった「感性」を取り戻す糧となる本を書いてみたいと思いました。
そこで、今回、主人公として取り上げたのが伊東巳代治(1857〜1934)です。
稀代の英語使いにして、電信という当時最新のITを知り尽くした男。腹芸を越えて、メディア戦略としての政略を駆使し、果ては世界に冠たるメディアであるロイター通信社まで「買収」してしまうという胆力の持ち主。そう、こんなすごい人物が、私たちの国・日本にはかつていたのです。
そしてまた、巳代治は官僚でもありました。全てをなげうって、メンター・伊藤博文の下で国づくりに励むその姿をみると、今や「勝ち組=米国由来の破壊ビジネスをする人」と思い込んでしまっている私たちがいかに矮小な発想にとらわれているのかが分かります。
この本は、政論ばかりを書いてきた私にとって、はじめての史論です。その意味でも、一人でも多くの方々に手にとっていただき、巳代治の息吹を感じる中で、思いを馳せていただければ、著者としてこれほど嬉しいことはないと思っています。
(2006年10月 原田武夫記)


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