IISIA TOP > 代表挨拶 > 著作一覧 >
  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 業務内容
  • 決算公告
  • 個人情報保護への取り組み

著作一覧へ戻る▲「北朝鮮vs.アメリカ─「偽米ドル」事件と大国のパワー・ゲーム」(ちくま新書)

(2008年1月8日発売)

私たちが暮らす日本を含む東アジアは今、音を立てて動こうとしています。「サブプライム・ショック」によって米国が傾き、それに引きずられるように欧州も傾きつつある中、東アジアの輝きは増すばかりです。

そして、そうした輝きに一段と磨きをかけているのが、米朝の急接近、そしてそれに伴う「北朝鮮問題」という地政学リスクが消滅していうかもしれないという淡い期待感です。「そんなことは絶対にあり得ない」と、誰しもが数年前なら思っていた米朝の和解。それは昨年(2007(平成19)年)1月にドイツ・ベルリンで行われた米朝協議以降のプロセスによって、もはや現実のものとなりつつあります。

しかし、その一方で私たちの国=日本は、明らかに取り残されています。いや、率直に言いましょう。―――日本は中国、韓国といった周辺諸国のみならず、米国にまで、この問題をめぐり、完全に「封じ込められて」いるのです。時の為政者たちはこれを頑なまでに否定しようとします。しかしながら、どんなに美辞麗句を並べたところで、一方で日本の知らないところで明らかに米朝が接近し、やがては「東アジア新秩序」が日本抜きで創られつつあり、他方では私たちの同胞である「拉致被害者」たちが北朝鮮に取り残されたままであるという現実は隠しきれないのです。

今こそ、私たち日本人は考えるべきなのです。「いったいなぜ、こんなことになったのか」を。そう考え始めた時、何かが狂い始めたのは2005(平成17)年秋頃であり、丁度そのころ、米国は北朝鮮に対し、ある重大問題を理由に盛んに非難を繰り返してきたことに思い当たるのです。その問題とは、「偽米ドル問題」に他なりません。米国は、自国の通貨であり、また国際基軸通貨でもある米ドルを、北朝鮮が偽造し、世界中にばらまいていると喧伝しました。そればかりではありません。マカオにある小銀行「バンコ・デルタ・アジア」に金融制裁をかけ、事実上、この一金融機関を「死」に追いやったのです。

ところが、米国はその後、2007(平成19)年になると踵を変えます。突然、「微笑外交」に転じた米国は、このバンコ・デルタ・アジアにあった北朝鮮関連資金を、ニューヨーク、モスクワ、そしてウラジオストックを経て「返金」してしまったのです。一体、なぜこんな不思議なことが生じたのでしょうか?偽米ドルをつくっているとされた北朝鮮に対し、そもそもそうした偽米ドルを預かったことを理由に血祭りにあげたはずのバンコ・デルタ・アジアは一体、どうなってしまのでしょうか?そしたまた、この金融制裁騒動でストップした六カ国協議は、再会された途端に、日本の預かり知らないところで「北朝鮮への支援国会合」へと転化していました。それなのに、日本の為政者たちはこのことが持つ、「本当の意味合い」について私たち国民に対してまともに説明しようとしたことすらないのです。―――これはおかしい、あきらかにおかしいのです。

外務省を自主退職した直後に著した「北朝鮮外交の真実」(筑摩書房)の続編として、私は今回、この「偽米ドル事件」をテーマに、米国が東アジアで繰り広げる壮大な「演劇」の全容を描くことにしました。その際、誰しもが身につけることのできるインターネットを用いた「公開金融インテリジェンス」の手法を用いることで、為政者たちの言葉、あるいは大手メディアの報道に飽き足りた賢慮ある方々が、独力でどこまで真実に迫ることができるのかを示したつもりでもあります。

またこうした「検証」は必然的に、これまでこの問題について米国による「演劇」の支援を行ってきた日本人たちの言動をもターゲットにするものとなりました。自称「インテリジェンスのプロ」たちが、私たち日本人に対して一体、どんなメッセージを喧伝してきたのか、そのことをつぶさに観察することで、囚われの身となった哀れな同胞たちの末路を案じざるをえません。

「偽米ドル」が叫ばれた直後に米朝が和解へと進み、他方で米ドルが下落し始めつつ、東アジア新秩序がつくられていくという怒涛の「今」。この荒波に流されることなく、自らの意思で未来を切り開き、さらには私たちの国=日本を自らの手に取り戻したいと考える全ての日本人に、この本を贈りたいと思います。

(2008(平成20)年1月 原田武夫記)

amazon.co.jpで買う

著作一覧へ戻る▲