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著作一覧へ戻る▲「金融マーケットを先読みせよ 世界と日本経済の潮目」(ブックマン社)

(2008年1月23日発売)

 世界は今、「激震の時代」を迎えています。至るところで「システムの大転換」が叫ばれ、それに伴って、舞台上では立役者たちが相次いで交代しています。
 2007年7月29日に、日本で行われた参議院選挙もそのひとつです。この選挙で、自民党・公明党から成る連立与党は惨敗。参議院で野党が優位となったことにより、安倍晋三内閣総理大臣(当時)は追い詰められました。この惨敗から、安倍総理は大胆に内閣を改造。その過程で、「構造改革」を語り、権力の座へと上り詰めてきた中堅・若手議員たちを更迭。一方、「構造改革の痛み」を訴える熟練政治家たちがカムバックしたことに世間が沸きました。
「改革の続行は必要。しかし、改革の痛みを受けた人々への配慮も必要」
新しく権力の座に就いた者たちは、口ぐちにそう叫びます。
 しかし、ちょっと待ってもらいたい。―――小泉純一郎元総理大臣の下、ひたすら「構造改革」を叫んできたのはどこの誰だったのか? 「なぜ今、改革が必要なのか」について、そこに隠された新たな利権構造を語ることなく、マス・メディアを使ったイメージ戦略をひたすら繰り広げてきたのは、いったい、どの政党・組織・企業だったのか?
 日本の権力者たちが繰り広げる、この「大いなる欺瞞」に対する総括なくして、前に進めるはずはありません。「真実」を語ことなく、その先に明るい未来があるはずもありません。「反省」することなくして、「構造改革」という「破壊」ビジネスによって焦土と化した日本に明日はないのです。
そしてまた、「これからどうすれば良いのか」を語り合うことなくして、騙され、奪われかけた私たち日本人の将来はありません。前著『仕掛け、壊し、奪い去る アメリカの論理』(2007年1月小社刊)で私は、次のように読者に訴えかけました。

●日本、そして世界で今起きている出来事はすべて、「金融資本主義」に帰着します。
●この新しい資本主義は、いわば「世界における新しいゲームのルール」です。
●ところが多くの日本人はこのルールを全く知らない(ように育てられてきています)。
●新しいルールを作り、知り尽くした米国は、そんな無垢な日本人の富を狙っています。
●日本人が国富を守るには、「新しいルール」を徹底的に学び、使いこなすしかありません。
 
前著は、私が東京大学教養学部で半年かけて行った講義をまとめたものです。幸い、学生のみならず、名だたる国会議員の方から一般家庭の主婦の方まで、実に多くの方々にお読み頂きご感想を頂きました。東大で教えた際、「象牙の塔の中だけではなく、むしろ成人教育の中で積極的に『世界の今』を語っていくべき」と痛感した経験に基づく本であっただけに、筆者としては嬉しい限りでありました。
 そうしてお寄せ頂いたコメントの中で、最も多かったのが次のようなメッセージです。
「抽象論としての『世界の今』は分かった。今度は、現在も動いている情勢の中で、何に注目するべきか、また、これから何が起きていくのかを知りたい」
 今回の本は、まさにこうしたご要望にお応えするために著したものです。具体的には、2006年後半から現在に至るまでを振り返り、次のような問いかけに答えています。

「なぜ、次から次に世界同時株安が生じるのか」
「なぜ、『構造改革』を叫んでいたはずの者たちが、今や『破壊』ではなく『創造』を叫んでいるのか」
「なぜ、『同盟国』であるはずの米国までもが北朝鮮にすり寄り、日本がハシゴを外されたのか」
「なぜ、あれほどまでに騒がれていた日本の新興株式市場が低落し、代わりに世界中の新興市場国(エマージング・マーケット)への投資が勧められているのか」
「なぜ、恐れられていた三角合併による外資勢の日本買いがまだ行われていないのか」
「なぜ、ドル安・円高へ一気に展開しつつあるのか」
「これからの世界、そして日本において、マーケットとそれを取り巻く内外の情勢はどうなっていくのか」

 どちらかというと、世界の「原理原則」を書いた前著と比べ、この本ではとにかく「ファクト(事実)、ファクト、ファクト!」で分析することを心掛けました。
したがって、お読み頂ければ単なるカルト的妄想としての「陰謀論」ではなく、「金融資本主義化された世界のリアリティー」こそ、この本で描き出すテーマであることをご理解頂けるでしょう。
 
世界は今、「システムの大転換」を始めたばかりです。前著で述べた、金融資本主義という「新しいゲームのルール」を学び、そのベースとなる「情報リテラシー」を身につけて欲しい。
そのことにより、豊かさと賢慮を兼ね備え、明日の日本を担う「新しい中間層」へと羽ばたけるかどうかは、読者の皆さんの気概と努力にかかっています。今こそ、「おかしいものはおかしい」と見抜き、叫び、行動し、そして「あるべきもの」を作り上げるための能力を、私たち日本人は必要としているです。

(2008(平成20)年1月 原田武夫記)

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