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「IISIAプレップ・スクール」の第3回授業
6月20日(金)、三回目となる「IISIAプレップ・スクール」が開講されました。今回の科目は「企業と金融」。
授業を担当するのは、気鋭のIISIA調査部研究員にしてUSCPA(米国公認会計士)全科目合格者の菊地正彰講師。 企業の実体を捉えるためのレクチャー、その様子をご報告します。 ●課題発表とコメント 今回もまずはIISIA代表・原田武夫が登壇。 個人課題へのコメントから始まり、続いて学生たちによるグループ発表へ。 今回のお題は米国投資銀行のゴールドマン・サックスが 2005年12月に発表したレポートに関するもの。 「ゴールドマン・サックスはなぜBRICsだけでなく Next11というスキームを提唱したのか」。 前回以上に入念な準備を経たと思われる学生たち。 プレゼンでは当該レポートの背景として、エネルギー事情や 米国海軍の動き等に関する詳細な調査の成果が発表されました。 しかし、学生発表に対するIISIA代表・原田武夫のコメントは 前回同様、厳しいものでした。 ―よく調べてきたのはわかる。しかし、プレゼンは断片的な知識の発表会ではない。 ―短時間のプレゼンでは、冒頭にテーゼを打ち出すべし。この基本を忘れてはならない。 ―公開情報を駆使した調査の結果は、あくまでテーゼの論証に仕えるもの。「木を見て森を見ず」になってはならない。 アウトプットの段階で課題を残した今回。 しかし、情報収集については思い思いの工夫でスキルを高めてきた学生たち。 彼らの「伸びしろ」を指摘し、授業の度に一段階上に引き上げること。 この徹底トレーニング方式こそが、単なる講義にとどまらない「プレップ」の特長なのです。 ●ツールとしての「会計的な考え方」 休憩を経て、IISIA調査部研究員・菊地講師が登壇。 「企業と金融」をめぐる授業が始まります。 この授業には事前課題がありました。 「自分が入りたい会社の決算書を用意し、その決算書に基づいて 当該会社のどこが「すごい」のかを自分の志望動機に関連させて 1分でプレゼンせよ。」 プレゼンについては先程の指摘の後ということもあり、 「1分」という時間制限が厳格に念押しされます。 自分の入りたい会社の最大の魅力とは何か。 それを手短に、かつ説得力をもって主張するには、 どの点を最も強調すべきなのか? 時計の針を気にして、多少早口になりながらも、 簡潔な発表を心がける学生たち。 厳しい制限の中でもユーモアに溢れたスピーチが展開され、 会場が笑いに満たされる場面もありました。 駆け足の発表の後に、菊地講師が総括。 ―今回の課題の狙いは、一般的なイメージに惑わされずに 企業の実力を考える経験をしてもらうことだった。 企業の真の姿を捉える力は、就職活動を含め社会人になる上で 必須の能力。 そのためには様々なデータの扱い方を初めとした「会計的な考え方」に 慣れる必要がある。 今回の授業を通じてコスト認識や数字に騙されない姿勢などを 身に着け、 会計的な発想を一つの武器にしてほしい― その後、実際に企業・会計に関わるトピックをわかりやすく説明していく菊地講師。 例えば、コスト認識の重要性について持ち出してきた例は、 なんと「スマイル0円」。 スマイル0円は本当に0円なのか? どこかにコストがかかっているとは考えられないか? 奇抜な問いに驚く学生たち。 しかし、その例を通じて菊地講師が説明を展開していくにつれ、 「感情労働」という発想、さらには日常に潜むコストへの感覚を 呼び起されていったのでした。 こうして驚きとユーモアに満ちた授業は進み、あっという間に 終了時刻を迎えました。 これから就職活動、さらにはビジネスの現場でもまれることになる学生たち。 そんな彼ら彼女らにとって、ツールとしての「会計的考え方」は 貴重な財産になるに違いありません。 「IISIAスキルアップ・スクール」の第3回授業
続く6月21日(土)。
今度は社会人対象の「IISIAスキルアップ・スクール」授業日です。 菊地正彰研究員による第三講「企業と金融」、今度は「社会人編」です。 ● 書かれ、読まれうる限りにおける歴史 まずはIISIA代表・原田武夫によるイントロダクション。 今回もキーワードとなったのは「歴史」でした。 個人課題についてのコメントから語り起こすIISIA代表・原田武夫。 前回の講評を受け、今回は力のこもったものが多く見られました。 とりわけ、受講生の多くがウェブ上の公開情報を頻繁に参照。 「徹底的に調べるべし」というメッセージに従った答案は、 質量ともに前回を大幅に上回る水準のものとなりました。 IISIA代表・原田武夫はその点をまずは評価。 しかし、一層の「スキルアップ」のために新たな考慮事項を加えるのも忘れません。 「今回の皆さんのレポートでは、インターネットを使った十分な調査の跡が 見られました。 それ自体は極めて重要な作業です。 しかし、これに留まらず更に力を伸ばすために、ぜひ書籍もリサーチの 対照に加えてください」。 一方で様々な情報がオンラインに上がっていく現在。 しかし、他方でオンラインに上がらない情報ももちろんあります。 そのため、従来からある書籍というメディアのチェックも不可欠である。 ここまでは一般論ですが、ここから先がIISIA流。 では、その書籍、それも決定的な情報が収められた書籍が 絶版となり、あるいは版元の経営上の危機により入手困難になった場合はどうなのか? ここでIISIA代表・原田武夫が引き合いに出したのは、 北朝鮮に眠る大量の鉱物資源に関する一冊の書物。 「歴史とは常に書かれたものです。 記録されなかった出来事は忘れられ、歴史として残ることはない。 そしてせっかく書かれたことであっても、アクセスが困難になってしまえば やはり大部分の人にとっては『なかったこと』になってしまう。 〔先ほどの本を取り出し〕この本は、北朝鮮が歴史上、そして 現在もなぜここまで問題となっているのかを考える際に、 鉱物資源という観点から貴重な事実を指摘しています。 しかし、にもかかわらず、この本の版元は現在、 民事再生法の適用を受けることになってしまっている。 将来的にこの本がほぼ人目につかなくなってしまえば、 この本に書かれている事実さえ忘れられていってしまう可能性が あるわけです」。 だからこそ、図書館等を利用し、読める限りにおいて 未だ残っている「歴史」を入念に押さえておく必要がある―― それが今回の講評における、IISIA代表・原田武夫のメッセージでした。 ●実践を想定したトレーニング 続いて菊地講師の授業が始まります。 前日の学生たちにとって企業とは「就職先」という側面の強いものでした。 「IISIAスキルアップ・スクール」受講生にとっては「投資先」という ニュアンスが強く加わります。 しかし、ここでも重要になってくるのはあくまで 「会計的な考え方」。 「イメージ」を脱し、思わせぶりな数字に騙されず、 コスト認識をつねに心がけるのは、投資でも経営でも共通のスキルです。 まずは財務諸表について丁寧な説明を行う菊地講師。 ―財務諸表と決算書の違いとは何なのか? ―財務諸表は企業の「成績表」なのか? こうした疑問から説き起こし、実際に例を用いて解説を加えていきます。 そこで引き合いに出されたのが、最近話題になった米系大手投資銀行の決算。 公開されている情報であるにも拘わらず、その読み方には入念な注意が 必要であることを、実際の決算書を見ながら確認していきます。 その後も、発生主義会計と現金主義会計の比較、 また会計基準変更によるインパクトを、前日同様に印象的な例を 用いて説明していく菊地講師。 その一つひとつが、単なる知識の伝達を超え、 実際に自分で考える場面を想定したものとなっていました。 授業終了後、IISIA代表・原田武夫に加え、菊地講師も 熱心な受講生の方の質問攻めに。 授業内容はもちろん、それ以外のトピックについても 引きもきらぬ受講生の方の質問に、「金融リテラシー教育」の 重要性を痛感する一コマでした。 次回授業科目は第四講、翻訳・通訳のエキスパート、 川上純子講師による「金融英語」です。 ご報告を楽しみにお待ちください。 |